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とりあえず

 投稿者:自由ネコ  投稿日:2009年10月12日(月)13時38分2秒
  通報 返信・引用 編集済
  前回のメールで別稿でと述べた商品交換における関係式の変形を提示してから説明した方がわかりやすいのですが、とりあえず1点だけ述べさせていただきます。

杉本さんが、「使用価値としては、諸商品は、何よりもまず、相異なる質であるが、交換価値としては、相異なる量でしかありえず、したがって、一原子の使用価値も含まない」
それゆえ
「もしもわれわれが労働生産物の使用価値を捨象するならば、われわれは、労働生産物を使用価値にしている物体的諸成分と諸形態をも捨象しているのである」
を根拠に
「諸商品の共通性は、労働生産物の属性に求められていない」「超感性的な社会的実体としての抽象的人間労働に還元」と述べられておられる点についてです。

まず、「交換価値としての商品は相異なる量」「一原子の使用価値も含まない」とは、
2-1)セーター(交換価値:塩むすびと交換できる/1着必要)→塩ムスビ(使用価値:飢えを満たせる/6個必要)
2-2)セーター(交換価値:テントと交換できる/2着必要)→テント(使用価値:雨露をしのげる/1張り必要)
という関係式を文章化したものでしょう。
この関係式をみていただけば明らかなように、ここにセーターの直接の(使用価値:暖かく過ごせる/1着必要)は一原子も含まれていません。そして塩ムスビやテントと関係した時、セータはただ1着、2着という“もの”の量としてのみ登場します。ここで注意すべき点は、マルクスはあくまで使用価値や交換価値の質や量ではなく、そうした属性を持つ「商品」の質と量を問題にしていることです。

膨大な引用文にまぎれて杉本さん自身の考えを理解することは難しいので、これはあくまで私の推論です。違っていたらすみません。
杉本さんは、この文章を交換価値は一種の使用価値ではなく、価値の一種である根拠としているようですが、それではなぜ「使用価値(という属性)ではない」ではなく「(あるものの具体的な)使用価値を含まない」なのでしょうか。
また、交換価値を価値の一種とするなら、交換価値と価値の差異はなんでしょう。
商品交換において、交換価値ではなく価値を基準にすることの意味はどこにあるのでしょう。

杉本さんは、人間の労働には「具体的な有用労働」という実体と「抽象的人間労働」という実体があって前者は使用価値という実体を作り、後者は価値という実体を作るというように理解しているように私には思えます。ちょうどハンダが主要にスズと鉛から構成されているように。
しかし、使用価値や価値、具体的有用労働や抽象的人間労働などというものが現実にある訳ではありません。存在するのはただ一人ひとりが行う現実の労働であり、それが生み出す“もの”でしかありません。セーターにはサイズや重さ、材質という属性があるように、それを着れば暖かく過ごせるという属性、それを作るのに人間が平均してX時間働かなければならないという属性があります。そして労働についても作るべき生産物の種類によって手足を動かすべきやり方が異なるという属性と、時間がかかるという属性があるのです。
大変失礼な物言いになってしまうのですが、批判というのは多かれ少なかれ失礼な言い方を避けられないということで容赦していただくとして、「諸商品の共通性は、労働生産物の属性に求められていない」というのはマルクスの主張とは正反対のように思えますし、「超感性的な社会的実体」というのも現実世界で何をさしておられるのかわかりません。私は、マルクス経済学は唯物論の上に築かれているということ、つまり目の前の具体的なものと現実から出発していることを常に意識するよう努めています。

杉本さんの引用部分でマルクスはごく率直に「商品の価値」「言い換えればその生産に必要な労働時問(実現された、および直接的な)の総量」(『資本論草稿集』7P114〜115)と書いています。誤解の余地はないように思うのですが。
なお、これは言うまでもないことでしょうが、「実現された」とは労働対象いわゆる材料などの生産に必要な労働時間を、「直接的な」とは資本家に雇用されそうした労働対象に働きかけて生産物を生産する労働者の労働時間をさしています。そしてマルクスがその区別をしているのは、ここでは一資本の生産過程を問題にしているからです。この引用部分はマルクスが「労働」と「労働力」の違いを明らかにすることで資本の価値増殖の構造:G-W-A,Pm…P…(W+w)-(G+g)を明らかにした最重要のテーゼですが、いまの議論のテーマとは直接関係ないのではないでしょうか。
「対象化された労働+生きた労働」のどちらかが具体的有用労働で残りが抽象的人間労働などとと考えておられるということではないとはおもうのですが。
 
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